◎TOKYO PHOTO ; FROM AKASAKA TO SUNTRYHALL 13.1.2012
赤坂駅に着いたのは夕刻。日没前の弱い日差しがTBS放送センターにわずかに注ぐ。冬至を過ぎて少し日は延びたが、底冷えのする時間帯になってきた。
赤坂サカスのサカス広場には屋外スケートリンクが設置され、子どもたちや若いカップルがスケートを楽しんでいる。スケートリンク前のシンボルツリーが彩りを添える。赤坂Bizタワーには天空イルミネーションが輝く。
赤坂通りを赤坂小学校方面に進む。赤坂五丁目交番前を左折して進むと、何の変哲もない所に勝海舟邸跡の看板が立っている。現在は「The Gaby」というバーになっていて、この看板、よく見ないと気付かない。海舟37歳のとき、安政6年(1859)から約十年間ここに住んだ。咸臨丸での太平洋横断のときにもここに住んでいた。海舟はよほど氷川町が気に入っていたらしく、この後も徳川慶喜に従って静岡に移住するまでの間、この近辺を転々としたらしい。
氷川神社を回り込んで南部坂に差し掛かる所、少し高台にある広い敷地からさっそうと外国人が降りてきて、ハローといいながら通り過ぎた。ここにはアメリカ大使館の職員宿舎がある。
六本木通りに出て、首都高速都心環状線の下にある長い歩道橋を渡りアークヒルズに着く。この日はサントリーホールでの東京フィルハーモニーによる定期演奏会。外山雄三指揮によるマーラーの交響曲第5番と外山雄三のチェロ協奏曲 作品61。ハープと弦楽器で演奏されるマーラーの交響曲第5番の第4楽章「アダージェット・Adagietto」は出色。憂いを秘めた幻想的で静謐感に満ちた楽章。ルキノ・ヴィスコンティの映画『ベニスに死す』でも使われた。
サントリーホール独特のあたたかみのある空間に流れるアダージェットのゆったりとした旋律に、至福のひとときを過ごす。
※東京都市モノローグ2011年の総集編(漂流する東京)
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http://www.utsunomiya-design.com/photograph/tokyophoto3.html
photo ; 宇都宮 保
文;長谷川 京子
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