◎TOKYO PHOTO ; À bout de souffle(Jean-Luc Godard) 14.8.2011
ジャン=ポール・ベルモンド演じる若者が、刹那的に青春を突っ走り、最後は愛する女の豹変によって密告され警察官に殺される。この映画の原題は『息切れ』(À bout de souffle)だが、この映画のラストシーンは原題そのものズバリの「息切れ」で幕を閉じる。
「ゴダールはゴダールである」。この映画評はこの言葉だけでいい。ジャン=リュック・ゴダールはまるで無邪気な子どものように勝手気ままにこの映画をつくり、その映像表現は『ゴダール革命』(蓮見重彦氏)と呼ばれる。
なぜ「革命」なのか。それは「ゴダールはゴダールである」からである。この堂々巡りの思考を楽しませてくれるのがジャン=リュック・ゴダールであり、「市場調査→企画→シナリオ」が一般的である映画製作を嗤い「ゴダールはゴダールである」に徹する。それ故にゴダールは後々も映画づくりに苦しむことになるのだが。
ジャック・プレヴェールの名台詞で知られるあの世界的名作『天井桟敷の人々』(マルセル・カルネ監督)をジャン=リュック・ゴダールは「詩情もどき」と言ったという。フランス映画の伝統と格式から抜け出そうとしたゴダール一流の映画に対する愛情表現だが、その後の映画製作に与えた功績と影響力は計り知れない。ヌーベルバーグの旗手は「ジャンプカット」するように現代にも脈づいているのだ。
文;宇都宮 保
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