◎TOKYO PHOTO ; KOISHIKAWA BOTANICAL GARDENS no1. 2.6.2012
小石川植物園はもとは江戸幕府により、薬になる植物を育てる目的で1684年(貞享元年)開園された小石川御薬園だった。1722年(享保7年)には、無料の医療施設である小石川養生所もこの地に開設された。山本周五郎の小説『赤ひげ診療譚』や、この作品を映画化した黒澤明監督作品の『赤ひげ』は、養生所を舞台とした医師の物語として有名。明治期に入り、東京帝国大学の附属施設となり、広く一般植物などを多種そろえた植物学の研究施設として生まれ変わり、一般にも公開されるようになった。休園日は月曜、入園料は大人(中学生以上)330円で小学生は110円。
正門前にたばこ屋さんがあり、ここで植物園観覧券を買って入場する。正門からまっすぐに坂道を登っていくと、まずは「精子発見のソテツ」を目にする。1896(明治29)年に東京帝国大学農科大学(農学部)助教授の池野成一郎博士によって、ソテツにも精子が存在することが発見された。鹿児島県立博物館の裏庭に植えられている精子発見のソテツの分株であることが、看板に記されている。
本館前のヒマラヤスギの向こう側に「ニュートンのリンゴ」の木がある。ニュートン (1643-1727)は、リンゴの実が木から落ちるのをみて「万有引力の法則」を発見したが、そのニュートンの生家にあったリンゴの木は、接ぎ木により各国の科学機関に分譲されているとのこと。この株は1964年に英国物理学研究所所長サザーランド卿から、日本学士院長 柴田雄次博士に贈られたもの。果実はならない。
先に進むと古い温室があり、さまざまな希少植物が置かれている。この温室は建築から45年が建って著しく老朽化した。「ライフ イン グリーンプロジェクト」と銘打って、建て替え整備のための寄附を募っている。温室前は桜並木と緑に溢れた広場になっていて、芝地のそこかしこで家族連れがくつろいでいる。広い園内の一つひとつの巨木に名前がつけられている。どの木にも歴史を感じる。
※東京都市モノローグ2011年の総集編(漂流する東京)
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photo ; 宇都宮 保
文;長谷川 京子
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