◎TOKYO PHOTO ; YANAKA NEDU SEBDAGI no7. 24.5.2012
根津界隈では、どんなに狭い路地も住まいへの通路になっていて、日々人が行き交う。草木に水をやる人、花や木を剪定する人の姿もよく目にする。軒下にすだれを掛けたり、低木を置いたり花を飾ったりすることで、さりげない目隠しにもなっている。自転車などもじゃまにならないように軒下に置かれている。ゴミひとつ落ちていない。
根津2丁目に串揚げ処・はん亭という老舗がある。千代田線根津駅からも3、4分。総けやき造りの木造三階建て日本家屋は珍しく、文化庁の登録有形文化財にも指定されている。夕方通ると、2階3階のほんのりした灯りとすだれの間から、串揚げと美酒に舌鼓を打つ客の様子が見てとれる。
言問通りを渡って、根津駅の裏手から異人坂に出る。明治時代、坂の上に東京大学のお雇い外国人教師の官舎があり、外国人が多く上り下りする坂なので、異人坂と呼ぶようになった。彼らはこの坂を通って不忍池や上野公園を散策したという。外国人の中には、有名なドイツ人のベルツもいた。
坂を上ると突き当たりは東京大学農学部の敷地。こちら側からは入ることはできないが、おしゃれな向ヶ岡ファカルティハウス内の「レストラン・アブルボア 東京大学」が格子越しに見える。鬱蒼とした大木の中に建っていて、夏場の涼にはもってこいの場所。さらに進むと、新しい住宅地の先に通称おばけ階段と呼ばれる階段があった。上るときと下るときの段数が違うことからそう呼ばれるようになったということだが、うっかりしたことに段差を数えなかった。
※東京都市モノローグ2011年の総集編(漂流する東京)
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photo ; 宇都宮 保
文;長谷川 京子
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