◎TOKYO GINZA 11-12.6.2011



和光の隣には明治2年(1869年)創業、日本を代表する老舗パン屋『木村屋總本店』。晴海通りを隔てた向かいには総ガラスで円筒型の『三愛ビル』。約350年の歴史を持つ和文具・お香の『東京鳩居堂』、さらには昭和9年(1934年)創建のビヤホール『銀座ライオン』、明治35年(1902年)に日本で初めてのソーダ水とまだめずらしかったアイスクリームの製造・販売をした『資生堂パーラー』。銀座三越、松屋、松坂屋のデパート。銀座のメインストリートには老舗がずらりと並ぶ。
作家・池波正太郎はとことん銀座を愛した。
『銀座日記』にはどこで何を食べたか細かく記されている。
いくつかのくだりを紹介する。
「外へ出ると、きょうの夕飯はこれと昨夜から決めておいたので、すぐさま銀座の〔煉瓦亭〕へ行き、先ず上カツレツにビールを注文する。ここの上カツレツは小ぶりのが二つ皿にのってくる。そこで上カツレツ一人前を折へ入れてもらい、その中に、皿のカツレツ一枚を入れてもらうことにする。
なんとなれば、いまの私はカツレツ二枚を食べてしまうと、あとに食べようとおもうハヤシライスが、腹へ入り切れなくなってしまうからだ。
満腹となって外へ出る。つぎに近くの凮月堂へ入り、好物のゆずのシャーベットにコーヒー。」
「昨夜は資生堂のカレーライスを友人たちと食べたので、きょうは千疋屋へ行き、ハヤシライスにする。フルーツサラダがメニューにないので、「できる?」と尋ねたら「おつくりいたします」と親切だった。
明日の朝、サンドイッチにするつもりで、ポテト・サラダを箱に入れてもらう。」
「このところ数日、銀座に出ていない。明日は東和でフランス映画〔パッション〕の試写がある。それを観てから銀座を歩くことを想うと、うれしくて、ベッドへ入っても子どものように眠れなくなった。」
『銀座日記』を読んで、おいそれとは入れない老舗の名店と銀座への憧憬がつのる。
photo ; 宇都宮 保
文;長谷川
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