◎TOKYO PHOTO ; SHINOBAZUNOIKE 23.9.2011
上野恩賜公園にある不忍池を夕暮れ時歩く。不忍通り沿いの池之端から入っていくと、片側は一面蓮におおわれた池、もう一方はボートを漕いで遊ぶ池があり、その間の遊歩道を歩いて中央にある弁才天を祀る弁天島まで行く事ができる。
水面が見えない位びっしり覆われた蓮は花の時期を終え、蓮の実が入ったガクも茶色く枯れはじめていた。蓮の花は7月中旬頃から8月にかけてが見頃らしくピンクと黄色の可憐な花が咲くという。蓮は古名「はちす」といい、花托の形が蜂の巣に似ているからというのが通説らしい。蓮の地下茎はレンコンとして食用だが、実にもでん粉が豊富で生食されるらしい。
ハスを国花としているベトナムでは花をハス茶として飲用したり、茎を茹でてサラダにしたりもするそうだ。10年以上前のベトナム映画に『季節の中で Three Seasons』という作品があった。貧しいけれど、時の流れのゆるやかな美しいベトナムが描かれて印象的な映画だった。その中に蓮が咲きほこる屋敷のようすや蓮摘みの仕事をする少女の姿が物悲しく記憶にあり、蓮というと仏教とも結びついて何故かはかない。
中央の弁天島のあたりでは大きな鯉が泳ぎ亀がのっそり顔を出す。湖面にはボートが並び、灯りのともったビル群がゆらめく。この遊歩道を歩いて上野駅に向かう仕事帰りの人たち。ベンチでくつろぐ人。湖畔をぐるっと廻り、公園内に入って行くと街灯も少なくあたりはもう真っ暗。正岡子規記念球場だけが煌々とあかりが灯っていた。
photo ; 宇都宮 保
文 ; 長谷川
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