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1月31日の夕方4時半過ぎ、日暮里にある富士見坂には大勢の人が集まっていた。フジテレビやテレビ東京など数社のカメラも陣取っていて、アナウンサーが地元の人達にインタビューしている。“ここからの「ダイヤモンド富士」がもう見られなくなるかもしれない。非常に残念だ”とみな口々に言う。
富士山が見える方向に「ここは富士山の通り道」と書かれたアドバルーンが上がっている。今秋完成予定といわれている文京区不忍通りの11階建てマンションがこのアドバルーンの高さになるとのことで、富士山を完全に隠してしまう。地域の人や日暮里富士見坂を守る会の人たちが“ここから富士山を見続けたい”と行政や建設業者にさまざまな働きかけを行っているが、眺望権というものが法的には認められていない状況ではなすすべもない。こうして東京に数多くあった富士見坂の最後の砦が壊されようとしている。
徐々に太陽が傾いていく。眩しくてずっと見る事はできないので、目を細めときどき位置を確認。4時45分頃からかかり始め、太陽を背にした神々しいばかりの富士山がはっきり見えてきた。その厳粛な時を待っていた人たちは思わず歓声と拍手。
皮肉にも建設中のマンションの大型クレーンが光を受け輝く。あっという間に太陽は隠れ、富士山のシルエットが夕闇に浮かぶ頃には、急に寒さがしみてきた。
◎PHOTOS OF TOKYO CITY by t.utsunomiya
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◎東京都市モノローグ2011年の総集編(漂流する東京)
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photo ; Utsunomiya
text;Hasegawa
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