2012年11月30日金曜日

谷中寺町・晩秋の日(1)

◎TOKYO PHOTO YANAKA-TERAMACHI ; 28.11.2012










◎text
日暮里駅を出て谷中方面への御殿坂を上っていく。右手に諏訪台通りを進むと富士見坂と諏方神社、まっすぐ進めば谷中銀座がある。左手に進み、改修工事中の台東区立朝倉彫塑館や寺々が並ぶ谷中寺町らしい風景に出会う。谷中の道路は狭く、自動車が入り込める道はわずかしかない。この道も一方通行で、車の通行を気にしながら歩く。

朝倉彫塑館を過ぎ少し行くと、左手に黒い板塀とトタンで覆ったわれた三階建ての古い蔵が印象的な「スペース小倉屋」という建物がある。この家に生まれ育った伊藤としさん(1914-2001)の絵画が常時展示されている他、絵はがきや小物のショップコーナーや絵や写真、工芸品等の個展やグループ展のスペースも貸し出している。

伊藤としさんの絵には、子供の遊び、お稽古ごと、風習や女の仕事など大正昭和の古き良き時代の生活や文化が描かれていて、どこか懐かしく癒される。元は質屋の店舗だったという建物は1847年、江戸末期の建築、3階建ての蔵は1916(大正5)年の建築という。2000年に国の登録有形文化財になっている。

通り沿いには、数えきれない絵馬に囲まれた酒場・絵馬堂、さらに浮世絵を展示している寺町美術館、カフェ間間間(さんけんま)など特色のある店が続く。間間間(さんけんま)は、大正8年に建てられた間口が三間ひらく町家を活かして、NPO法人が週末カフェとして運営している。外国人客もときどき見かけ、異文化交流の場にもなっている。

◎PHOTOS OF TOKYO CITY by t.utsunomiya
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◎東京都市モノローグ2011年の総集編(漂流する東京)
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photo ; Utsunomiya Tamotsu
text;Hasegawa Kyoko

2012年11月29日木曜日

番外編 善光寺・門前仲通りと鳥居峠のから松

◎TOKYO PHOTO SENKOJI ; 4.11.2012










◎text
秋の澄みきった青空のもと、善光寺には七五三の親子連れが大勢つめかけていた。境内の入り口から山門下まで、およそ400メートルに渡って敷かれた石畳の上を、華やかな衣装に身を包んだ子ども達が少し緊張して歩いていく。

石畳の右手には落ち着いた佇まいの宿坊が並び、信州の季節の食材を使った本格的な精進料理が供され、写経、坐禅を体験する一泊二日の宿泊プランなどもある。

石段を上って仁王門前へ。木造とは思えないほど迫力ある阿形と吽形の仁王像が迎えてくれる。この仁王像は背面の三宝荒神と三面大黒天とともに、近代彫刻の巨匠・高村光雲と米原雲海の作。最初は宝暦二年(1752年)に建立されたが、善光寺大地震などにより二度焼失。現在のものは大正七年(1918年)に再建されたものという。

仁王門から続く門前仲通りはお土産屋が立ち並ぶ。重要文化財の山門(三門)をくぐって本堂への道も、多くの人でこったがえしている。本堂は創建以来十数回もの火災に遭ったが、その度に全国の信徒によって復興されてきた。現在の本堂は宝永四年(1707年)の再建。江戸時代中期を代表する仏教建築として国宝に指定されている。間口約24メートル、奥行き約54メートル、高さ約26メートルという国内有数の木造建築。永い歴史を伝える善光寺を味わう。

◎PHOTOS OF TOKYO CITY by t.utsunomiya
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photo ; Utsunomiya Tamotsu
text;Hasegawa Kyoko

2012年11月27日火曜日

番外編 信州長野市 おやきと土蔵

◎TOKYO PHOTO SHINSYU-NAGANO ; 4.11.2012










◎text
善光寺前の大門の交差点周辺は大勢の観光客で賑わっている。そば屋とおやきの店が多い。尾張屋、一茶亭、山城屋、丸清、喜多平、かどの大丸、藤木庵などの門前そば屋では、挽きたて、打ちたての香り高い自慢の味を競い合う。おやきは何といっても小川村の「おやき村長野分村大門店」。

小川村は長野市と白馬のほぼ中間に位置し、雄大な北アルプス連峰を村内各所で楽しむことができるほど高所にある村。20年程前に地元の人たちが過疎の村のお年寄りパワーを生かした会社「小川の庄」を誕生させた。それが小川村久木本郷にある「おやき村」。囲炉裏で焼き上げられるアツアツのおやきは素朴で美味しい。

「おやき村長野分村大門店」が入っているのが「ぱてぃお大門 蔵楽庭(くらにわ)」。土蔵を活かした回遊型の商業施設で平成17年11月にオープンした。フレンチやイタリアン、豆腐料理や日本料理、カフェなどの15店舗が出店していてオシャレな空間になっている。週末には中庭でのイベントも人気。蔵楽庭マルシェやお花とお茶のワークショップ、アコースティックライブなどが行われていて、若い人たちの感性が次々に新しい企画を生み出している。

◎PHOTOS OF TOKYO CITY by t.utsunomiya
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photo ; Utsunomiya Tamotsu
text;Hasegawa Kyoko

2012年11月26日月曜日

番外編 信州長野市

◎TOKYO PHOTO SHINSYU-NAGANO ; 4.11.2012












◎text
11月の初旬に長野市に行った。市内中央付近にSBC信越放送のTOiGOビルがあり、門前蕎麦などの放映をしている大きなテレビ画面が街のシンボル的存在でもある。そのビルのある新田町信号から善光寺の山門のある大門の信号までは10分程度。古くからの店と新しく出来た店が混在してオシャレな通りになっている。道沿いの紅葉も色付いて、老舗の店構えにしっとりと落ち着いた雰囲気を添えている。

八十二銀行大門町支店の風格あるビルの隣に、北野カルチュラルセンターというモダンな美術館と、歌舞伎座風の外観を持つ北野文芸座が隣り合わせになっている。北野カルチュラルセンターは、長野県で初めての私設美術館として造られた北野美術館の分館。北野文芸座は、伝統演劇のみならず音楽や各種公演にも用いられていて、どちらも長野県の中堅ゼネコンの北野建設が造ったもの。北野建設といえば、荻原兄弟やモーグルの上村愛子など数多くのオリンピック選手を輩出したことでも知られている。

その北野文芸座の反対側に権堂アーケード通りという全天蓋のアーケード街があった。ズラッと並んだ商店街も今は空き店浦が目立ち、昼間でも閑散としている。その通りから一歩裏通りに入ると様子が一変する。小さな風俗店・居酒屋などが軒を連ね、「夜の街」の顔が覗く。

◎PHOTOS OF TOKYO CITY by t.utsunomiya
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photo ; Utsunomiya Tamotsu
text;Hasegawa Kyoko

2012年11月24日土曜日

浅草酉の市 商売繁盛、家内安全の縁起熊手

◎TOKYO PHOTO ASAKUSA TORINOICHI ; 20.11.2012











◎text
「一年の無事に感謝し、来る年の幸を願う」とされる酉の市。商売繁盛、家内安全の縁起熊手の中にあって、異色なのは世相を反映した熊手。総選挙だ!、維新の会、石原新党や政治家の似顔絵などがぺたぺた貼られたオリジナル熊手は楽しい。

熊手の種類も色々ある。飾りの差し物が手作りで一見して赤く見えるのが赤物熊手、機械造りで上部に緑の松を飾ったものが多く、差し物にはおかめの面を始め大判小判、松竹梅、鶴亀、米俵などおめでたいものが勢揃いしている文化熊手(青物熊手)、船の帆を大きくしてお宝を満載した宝船七福神熊手、竹ざるのなかにおかめの面や升などを入れた比較的シンプルなみの熊手など。他にも和風小物としても愛らしいミニチュア熊手やインテリアの置物になる熊手なども売られている。

酉の日の午前零時に打ち鳴らされる「一番太鼓」を合図に始まり、深夜24時まで終日行われる酉の市。歴史は古く、宝暦・明和年間(1750~60年)にはすでに酉の祭は相当な賑わいだったとの記録もあり、樋口一葉の「たけくらべ」、広津柳浪「今戸心中」、久保田万太郎「三の酉」、沢村貞子「私の浅草」など、多くの文学作品にも登場する。

境内から一歩外に出ると美味しそうな臭いが漂ってくる。焼きそばやたこ焼き、焼き鳥、唐揚げ、おでん、煮込み、ベビーカステラなどお祭り定番の店がずらり並ぶ。東京名物のべったら漬けの店もある。日が暮れる時間になるとますます人が増えてきた。仕事帰りの人が立ち寄る夜7時頃にはごったがえし、入場制限も行われるらしい。

◎PHOTOS OF TOKYO CITY by t.utsunomiya
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◎東京都市モノローグ2011年の総集編(漂流する東京)
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photo ; Utsunomiya Tamotsu
text;Hasegawa Kyoko