2012年5月9日水曜日

西日暮里駅界隈(荒川区)

◎TOKYO PHOTO  ; NISHINIPPORI 8.5.2012





台東区谷中の富士見坂を上ると、鬱蒼とした大木に囲まれた諏方神社がある。その裏手にある地蔵坂は、JRの線路の高架下まで続く急峻な階段坂で、段差が少し傾いている。自転車の並んだ薄暗い諏訪坂ガードをくぐると西日暮里の東口方面に出る。

駅前のビルの建ち並ぶ一角で、サンドバックを叩く音が響いてきた。看板にはSRSボクシングジム、坂本博之の名前がある。カメラマンの宇都宮が心から尊敬する元東洋太平洋ライト級チャンピオンだ。たまたま駐車場に止まった車から降りてきたのは、坂本博之氏本人。柔和な笑顔から誠実さが溢れている。一緒にジムを支えている秋葉慶介氏とファイティングポーズでの写真も撮らせてもらい、ブログへの掲載も快く了解してくれた。

20歳でデビューしてから破竹の勢いで連勝を重ねた。2年後の1993年に日本ライト級チャンピオン、3年後には東洋太平洋ライト級チャンピオンになった。2000年10月に行われたWBA世界級王者・畑山隆則に敗れ、4度の世界挑戦は実らなかったが、畑山との一進一退の激しい攻防戦は、同年の年間最高試合に選ばれた。2007年引退。パワーのあるパンチで「平成のKOキング」と呼ばれ、前に出るスタイルのボクシングでファンを魅了。リングに鮮烈な記憶を残した。

引退後は児童養護施設を回り、子どもたちに嬉しかった事や悲しかった事をぶつけてほしいと、ボクシングを教え始めた。そして2010年8月に西日暮里に自前のジムを構えた。「児童養護施設出身の若者が前向きに生きていくきっかけをつくってあげたい」という思いから。自身も幼少の頃、弟と一緒に児童養護施設で暮らした過去を持つ。SRSはスカイハイ・リングスの略で「天まで届くほどの心の輪」の意味。施設の子どもたちを受け入れ次代の若き才能を育てている。

◯SRSボクシングジム
http://www.srsboxing.com/

※東京都市モノローグ2011年の総集編(漂流する東京)
http://www.utsunomiya-design.com/photograph/tokyophoto1.html
http://www.utsunomiya-design.com/photograph/tokyophoto2.html
http://www.utsunomiya-design.com/photograph/tokyophoto3.html

photo ; 宇都宮 保 
文;長谷川 京子

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