2011年6月15日水曜日

中央区銀座(ビル群) 撮影;2011.6.11-12

◎TOKYO GINZA  11-12.6.2011













銀座の数ある老舗のなかでも代表格といえば『和光』だろう。時計塔の下で人待ち顔でたたずむ人も多い。初代の時計塔が完成したのは明治27年(1894年)。翌年には和光の前身である服部時計店が営業を開始した。現在の時計塔は昭和7年(1932年)竣工。銀座4丁目の交差点を見下ろすように建つネオ・ルネッサンス様式の建物は、他の新しい建物と比べてひときわ優美だ。

和光の隣には明治2年(1869年)創業、日本を代表する老舗パン屋『木村屋總本店』。晴海通りを隔てた向かいには総ガラスで円筒型の『三愛ビル』。約350年の歴史を持つ和文具・お香の『東京鳩居堂』、さらには昭和9年(1934年)創建のビヤホール『銀座ライオン』、明治35年(1902年)に日本で初めてのソーダ水とまだめずらしかったアイスクリームの製造・販売をした『資生堂パーラー』。銀座三越、松屋、松坂屋のデパート。銀座のメインストリートには老舗がずらりと並ぶ。

作家・池波正太郎はとことん銀座を愛した。
『銀座日記』にはどこで何を食べたか細かく記されている。
いくつかのくだりを紹介する。

「外へ出ると、きょうの夕飯はこれと昨夜から決めておいたので、すぐさま銀座の〔煉瓦亭〕へ行き、先ず上カツレツにビールを注文する。ここの上カツレツは小ぶりのが二つ皿にのってくる。そこで上カツレツ一人前を折へ入れてもらい、その中に、皿のカツレツ一枚を入れてもらうことにする。
なんとなれば、いまの私はカツレツ二枚を食べてしまうと、あとに食べようとおもうハヤシライスが、腹へ入り切れなくなってしまうからだ。
満腹となって外へ出る。つぎに近くの凮月堂へ入り、好物のゆずのシャーベットにコーヒー。」

「昨夜は資生堂のカレーライスを友人たちと食べたので、きょうは千疋屋へ行き、ハヤシライスにする。フルーツサラダがメニューにないので、「できる?」と尋ねたら「おつくりいたします」と親切だった。
明日の朝、サンドイッチにするつもりで、ポテト・サラダを箱に入れてもらう。」

「このところ数日、銀座に出ていない。明日は東和でフランス映画〔パッション〕の試写がある。それを観てから銀座を歩くことを想うと、うれしくて、ベッドへ入っても子どものように眠れなくなった。」

『銀座日記』を読んで、おいそれとは入れない老舗の名店と銀座への憧憬がつのる。

photo ; 宇都宮 保
文;長谷川

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